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FAQ/ HQ式とは

HQ式とは、水位(H)と流量(Q)の関係を示した式です。H-Q曲線または水位流量曲線(stage discharge rating curve)とも呼ばれます。


図: HQ式のグラフ

HQ式は、次のように流量を水位の二乗式で表すことが一般的です。

河川砂防技術基準 調査編(平成24年6月) 第2章 第4節 p. 29 式2-4-3

\[ Q = a (H + b)^2 \]

ただし、\(a\): 係数, \(b\): 係数です。これらの係数は、過去の観測から推測します。また、\(H > -b\) です。したがって、HQ式は一価関数です。このため、次の逆関数を定義できます。

\[ H = \sqrt{Q/a} - b \]

ただし \(Q > 0\) です。

水位(H)から流量(Q)を求めるのでHQ式と呼ばれます。

HQ式の場合は慣例的に、縦軸をH、横軸をQにしたグラフが多く使われます。縦軸をHにすることで、HQ式のグラフに河川横断図を重ねて描画することができるようになります。

HQ式は、水位から流量を求めることができる大変便利な式です。一般に、河川流量を計測することには大きな困難が伴います。それに比べると、河川水位を計測することは容易です。HQ式を使えば河川水位から河川流量を推定することができ、河川流量を直接計測する困難を避けることができます。こうしたことから、HQ式は実務において広く使われてきました。


図: HQ式と実際の水位・流量とのずれ

その一方で、HQ式によって得られた流量には、多くの誤差が含まれうることが知られています。たとえば、同じ水位であっても、水位上昇時の流量に比べ、水位下降時の流量は小さくなることがあります。これは、水位上昇時は水位下降時に比べ水面勾配が大きく、流速が速くなるためです。この場合、グラフでは反時計回りの軌跡(ループ)を描きます。つまり、

改訂新版 建設省河川砂防技術基準(案)同解説 調査編 p. 52

ループを1本の水位流量曲線で近似すると、水位流量曲線によって換算した流量にかなりの誤差が乗じる

ことになります。

このため、

河川砂防技術基準 調査編(平成24年6月) 第2章 第4節 p. 29

緩流河川においては、下流側における潮汐や合流、堰操作等による背水の影響による水面勾配の変化の影響が無視できないため、水位流量曲線を水位のみの一価関数として表現することはできない。したがって、このような地点においては水位流量曲線法を用いないことが望ましい

とされています。

一方、氾濫解析の実務においては、HQ式の逆関数を使って、シミュレーションで求めた流量から水位を求めることが要請されています。

浸水想定区域図作成マニュアル(第4版) 平成27年7月 p. 11

河道水位計算については、不定流計算による流量から、前述の河道計画に用いられている水位計算法による H-Q 式により河道水位を算定する。

ただし、HQ式に流量として 0、あるいは負の値を与えると、水位が虚数になります。つまり、そうした流れが緩やかな箇所や、逆流が起こる箇所にHQ式を当てはめることは不適当です。こうした箇所におけるHQ式の取り扱いには配慮が必要とされています。

浸水想定区域図作成マニュアル(第4版) 平成27年7月 p. 9

氾濫開始流量の算定において、堰等の構造物の影響により流下能力が著しく過大又は過小に評価される場合には、水理計算結果から機械的に H-Q式を作成することなく、適正な流下能力評価となるよう当該区間の水理特性を勘案して、必要に応じて H-Q式を補正したり、後述する氾濫想定地点から除いたりするなどの配慮を行う。

さらに、河川水位が堤防の高さを超える場合にもHQ式を適用するのであれば、HQ式を外挿する必要が生じます。これについても留意が必要とされています。

浸水想定区域図作成マニュアル(第4版) 平成27年7月 参考資料3 計画規模を上回る洪水発生時の浸水解析の手引き(案) p. 9

河道計画で用いる水理解析手法並びに水理条件により、現況河道における流量規模ごとの各断面の水位を計算し、\(Q = a ( H + b )^2\)形式等のH-Q式を作成することとされているが、河道計画と整合させたH-Q式は、計画規模を前提とした流量配分を基に設定されるものであり、計画規模を上回る流量に対しては、外挿による水位設定となるため、河道水位を過大評価してしまう場合がある。したがって、堤防天端高相当流量の算定は、越流水深に上限を設定したり、河道計画と整合させたH-Q式による換算水位ではなく、氾濫を考慮した不定流計算水位を用いたりするなど、留意が必要である。


最終更新日: 2022-01-07
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