FAQ/ 降雨を流出モデルと氾濫モデルで分ける¶
ある地域の流域治水を検討する際、流域貯留対策(遊水地など)と氾濫原減災対策(二線堤など)を一体的に評価する必要があります。
そこで、ある地域の霞堤遊水地の流域は氾濫計算に、残りは流出解析にと、範囲を切り分けた評価をしたいと思います。しかし、DioVISTAのシミュレーション条件にある降雨は降雨範囲を作成後、流出モデルか氾濫モデルの一方しか選択できないように思います。こういった評価の際はどのようにモデリングすればよいですか。回答¶
内外水一体解析機能を使ってください。
詳細は、内外水一体解析機能をご参照ください。
内外水一体解析を使わない場合¶
以下の説明は、内外水一体解析機能を使わない場合の説明です。この機能が実装されていない、Version 3.4.7か、それより前のバージョンを使う場合に参考にしてください。
ある地域領域:Dにおいて、降雨を流出モデル:Aと氾濫モデル:Bに分けたい場合、2つの方法があります。1つ目は、Version3.5.0より追加された内水エリアという機能です。2つ目は降雨を2つ作成することです。Version3.5.0以前のDioVISTA/Floodをご利用の場合は、後者の方法でモデリングを行ってください。今回は、後者でのモデリング方法を説明をします。
このモデリング方法では、2つの降雨を作成することによって流出モデルと氾濫モデルに分けた評価を実現しています。
DioVISTAの操作手順¶
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実際のDioVISTAの編集画面での手順を示します。
- はじめに、流出モデルで評価するAの降雨を作成します。この時、氾濫モデルで評価するBの流域は除外して作成します。
- つぎに、氾濫モデルで評価するBの降雨を作成します。
- この時、Bの[降雨]はBの流域に流れる落水線をもとに作成します。落水線は、[洪水シミュレーション]>[表示の詳細]>[落水線表示]にチェックをつけ、一度シミュレーションを実行することで表示されます。また、範囲作成の基となる流域解析精度のメッシュは氾濫計算メッシュサイズと同じになるようにしてください。
- それぞれの[降雨]>[プロパティ]>[流域解析]から、Aを[True]に、Bを[False]にし、モデルの選択をします。
- シミュレーションを実行します。 Aが流出モデル、Bが氾濫モデルとして計算されます。霞堤遊水地付近に雨が降り、堤内地に浸水箇所が出現したことが確認できます。
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補足
Version3.5.0以前では、流出モデルは必ず河川に接続されます。流出モデルが直接、排水機場や盛土などのモデルに接続することはありません。また、流出モデルと氾濫モデル間の接続はありません。そのため、お互いに流れが通過します。
Version3.5.0より内水エリア機能を追加しました。この機能では、流出モデルの落水線が氾濫域の境界メッシュと接続されます。指定した領域内に降る[降雨]または[降雨シナリオ]は直接氾濫モデルに与えられます。
[内水エリア]内に降る降雨の降雨補正倍率については、[プロジェクト]>[プロパティ]の[降雨補正倍率]の値が適用されます。ただし、作成した[内水エリア]ごとや河川ごとの降雨補正倍率については適用されません。
図:氾濫域のイメージ1
図:氾濫域のイメージ2
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注意点
- どの領域にどのモデルを使うのか、どの領域にどの程度降雨を与えるのかによって結果が違います。こうした一連のモデリングの際に必要な工学的判断はユーザにて行っていただく必要があります。
- たとえば、全体領域 D をA、B の領域に分割すると(D = A + B)、Aだけの降雨の計算結果 + Bだけの降雨の計算結果 = D全体降雨の計算結果、とはなりません。