FAQ/ マニュアル準拠の家屋倒壊危険ゾーンの算出の手順¶
DioVISTAを使い、「浸水想定区域図作成マニュアル(第4版)」(参考文献6)準拠の家屋倒壊危険ゾーン(氾濫)を作成する手順を教えてください。
回答¶
下記に、当方が考える作業の概要を示します。
前提: すでに想定最大規模(L2)のハイドログラフに関する通常の氾濫計算が完了した状態とします。
ここでは、ピーク水位時に氾濫する場合の氾濫計算をする手順を示します。
Step 1. 空隙率を設定します。¶
空隙率は、全域に1を設定します。これは下記の要請によるものです。
浸水想定区域図作成マニュアル(第4版) p. 23
4.2. 氾濫流による家屋倒壊危険ゾーンの設定
(2) 基礎方程式
基礎方程式については、堤防側の建物が倒壊等することにより遮蔽域に位置する建物に氾濫流が直接作用する危険性を考慮するものとし、透過率、空隙率を考慮しない(透過率、空隙率を 100%とする)ことを基本とする。 ...
下図のように、[計算領域1] > [(25m)] (右クリック)> [空隙率] > [値の編集] と操作します。
[透過率X] 、 [透過率Y] を指定している場合は、それらも全域に1を設定します。
指定していない場合、[透過率X] 、 [透過率Y] は [空隙率] から作成されるため、編集は不要です。
Step 2. 粗度を設定します。¶
粗度は、全域に空地・緑地の値(0.025~0.05)、もしくは道路(0.015~0.047)を設定します。これは、下記の要請によるものです。
浸水想定区域図作成マニュアル(第4版) p. 23
4.2. 氾濫流による家屋倒壊危険ゾーンの設定
(2) 基礎方程式
... 底面粗度係数に関して、表-3.2-1の空地・緑地又は道路の値を使用する等、適切な値を設定するものとする。
操作は上記Step 1と同様です。
Step 3. 河川のピーク水位を取得します。¶
全ての破堤箇所を無効にしてシミュレーションを行います。
シミュレーション終了後、河川の断面図から、[エクスポート] > [縦断データ(最大値)の出力] を選択します。
Step 4. 破堤箇所に破堤水位を設定します。¶
破堤水位として、上記Step 3で取得したピーク水位を指定します。
Step 5. シミュレーションを計算します。¶
家屋倒壊危険ゾーン(氾濫)だけが判ればよいので、計算対象期間は短くても構いません。
たとえば、破堤後1時間でシミュレーションを終了するようにすると、計算時間の短縮に寄与します。
Step 6. 最大浸水深の包絡図を作成します。¶
[メニュー] > [洪水シミュレーション] > [エクスポート] > [最大包絡のエクスポート] を選択します。
得られたnetCDFファイルのうち、MAXALL_TIME.NC に家屋倒壊危険ゾーン(氾濫)フラグ(値1)が格納されています。
同様に、得られたCSVファイルのうち、DZONE.CSV にも同じデータが格納されています。
これらのデータを、すでに作成済みの想定最大規模(L2)の氾濫計算の結果データと置き換えます。
CSVファイル(DZONE.CSV)は、ファイルを置き換えます。
MAXALL_TIME.NC は、NetCDFを開き、変数の値を置き換えます。
これには、nco, ncdump, ncgen 等の netCDF に関するツールを使用するか、プログラムを作成します。
なお、家屋倒壊危険ゾーンが含まれる納品物は、DZONE.CSV および MAXALL_TIME.NC です。詳細は、「浸水想定区域図データ電子化ガイドライン(第3版)」参考文献34)p. 39 表3「各ファイルに含まれる要素」を参照してください。
DZONE.CSV は家屋倒壊危険ゾーンデータのみのため、家屋倒壊ゾーンで計算した結果がそのまま使用できます。
MAXALL_TIME.NC については、最大浸水深、最大流速、浸水継続時間のデータが含まれているため、L2で計算した結果も必要になります。
そのためStep1~5で計算した2つのシミュレーション結果(氾濫開始水位到達時およびピーク水位時)の結果に加えて、L2の計算結果の3種類の結果から、最大包絡のエクスポート機能により出力する必要があると考えられます。